震災から8日たちました。震災直後よりしばらく経過して、被災地の状況が明らかになるにつれ、あまりの被害の大きさを聞くにつれ、胸が痛み日々です。あらためて被害に遭われた皆様に謹んでお見舞いし申し上げます。
個人的に、なにか被災地のお役に立てないだろうかとも思うのですが、むやみに動いても逆に被災地の負担になることでしょうから、今はコンビニなどの募金箱に僅かばかりの寄付金を入れる程度のことしか出来ません。
お客様からご心配いただくメールなども頂きまして、大変感謝しております。しかしながら東北地方の被害に比べれば当店の被害なんてものは被害のうちにも入りませんので、ご安心ください。
ただ店舗や倉庫が一次散乱して、棚に本を戻す作業は行なったのですが、そのさい処理済みのものと未処理のものが入り交じってしまったので、どこに何があるのか店主でも把握不能な状態になっております。なるべく早くの復帰を心がけますが、しばらく混乱は続きそうです。
こちらは震災当日の倉庫の写真です。見事に棚がひっくり返っちゃってます(^^;。倉庫に棚は全部で9台あるのですが、本はすべての棚から飛び出し、そのうち5台の棚が転倒しておりました。当日の晩には棚は元に戻したのですが、棚に入っていた本は順番というか分類は完全にめちゃくちゃになりました。
営業は通常どうりに行われておりますが、新着目録に関しては、整理品と未整理品が混ざってしまったため、しばらくはかなり少数のアップしか出来ない状況です。恐らく4月中にはなんとか復帰できるかと思われます。
そんなところで今週の新着目録です。偕成社コミック・モエ全11冊です。今回ほんとうにこれだけしかありませんm(_
_)m。普段新着用に色々と準備はしているのですが、準備していた商品が混ざってしまってどうにも見つけ出せない状況なのでご理解のほど。
偕成社の「コミック・モエ」です。まずは歴史から。ちょっと長くなります。出版元の偕成社は、戦前からある老舗の出版社です(創立1936年)。かつて児童向け以外の本も多少出版はしていたけれど、それも児童向けの本を出版する費用を捻出するためという筋金入りの児童向けの出版社です。戦後は「少女サロン」という雑誌を出したりもそておりました。
「コミック・モエ」の母体となった「月刊MOE」は、当初「絵本とおはなし」という誌名で1979年に創刊されました。1983年に「月刊MOE」に誌名変更された後、1988年に増刊号という形で「コミック・モエ」が刊行されました。第1号はB5判型で180ページとかなり薄め。値段は480円でした。当初は隔月ペースで刊行されておりましたが、6号目で一次発行が中断されます。この時何が起こったのかはよくわかりませんが、恐らく営業上の理由だと思われます。約1年後の1990年、発行元がMOE出版に変更された形で7号が発行されます。判型は同じB5版ですが、くるみカバーが付いた装丁で、雑誌コードが取得されておらず、ムック形式での刊行となっております。ちなみにページ数は約300ページ、値段は780円と大幅アップ。続く8号は何故か判型がA5版となり、値段は880円に変更されます。7号以降は年2、3回というかなり不定期な刊行となり、11号目には何故か出版元がふたたび偕成社に移ります。この間も何が起きたのかよくわかりません。結局「コミック・モエ」は11号で廃刊となり、誌名変更の形で「コミックファンタジー」へと引き継がれることとなります。
さてその後ですが、元々の本誌である「月刊MOE」は、90年代に偕成社から白泉社へと権利が移管されました。現在は白泉社からの発行となっております。「コミック・ファンタジー」は1998年に廃刊となりましたが、当時の編集長である榎本司郎氏により2002年私家版という形で復刊されました。現在は17号目を刊行中のようです。
少し作品の方も紹介したいと思います。かなり偏っているというか、今回完全に店主の趣味ですね(^^;
左はNo.2掲載、森下裕美「港で見た夢」。儚げな女性二人に依る、切ない恋のお話。1988年というと森下裕美にとっては、まだ不遇の時代といえるがこの不遇の時代の森下裕美作品がすごく好きでした。右はNo.3掲載、須藤真澄「桜東風」。老いらくの静かな恋を描く佳作。
左はNO.3掲載、松本大洋「子供の頃に見た空は。」。デビュー間もない1988年の作品。同名の「こどものころにみた空は」という母親の工藤直子と共著の詩画集があるが、無関係だと思われる。こちらの作品は、高所恐怖症の子供の雲と少年の交流と成長を描いたもの。右はNo.5掲載、深谷かほる「かわせみ通信」。こちらもデビュー間もない深谷かほるの作品。一応連載になっているが一時休刊の都合により2作品しか描かれなかった。どこにでも(過去とか死者からとかでも)郵便配達してくれるカワセミのお話。
左はNo.6掲載、足立紀史「ENBAN-USAGI」。見てるだけでかわいいキャラ。右はNo.7掲載、坂田靖子「死神の来た夜」。個人的に坂田靖子の中でもかなり好きな短編。自分を死の国に連れていく死神にさえ気を使う心優しい少女のおはなし。
No.8掲載、多門由紀子「水の国の7月」。コミック賞受賞作となっておりますが、これがデビュー作というわけでもありません。1981年ころの「花とゆめ」別冊系とか、84年ころの「ぶーけ」で少々描いていた方です。うまい画の人ですが、あまり作品自体は見かけませんでした。右はNO.10掲載、おーなり由子「きのぼり屋」。マンガ形式での描き方ですが、内容的には絵本に近いかも。やはり絵本のほうが体質に合う作家さんだったようです。
以上趣味に走りまくった紹介でした(^^;。他にもふくやまけいこ、阿保美代、長野加代子、紺野キタ、遠野一生(一実)とか好きな作家が多い雑誌でした。最後に8〜11号の表紙を飾っていた名倉靖博の絵も好きでした。
お店のある都心部は計画停電の範囲外ですが、周りの商店などは気を使って節電しながら営業しております。当店も暖房つけずに照明も半分だけで営業中です。やっぱり寒くて毛布でもかぶっていたくなりますが、接客商売なのでそういう訳にもまいりませぬ。とりあえず風邪引かないように頑張って営業を続けます。
来週も目録少ししかアップできそうもありません。ご容赦の程よろしくお願い致します。