神保町裏通り日記 
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2011年
9

 

9月24日(土)
天気(晴)

 

 暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものです。ここのところ過ごしやすい日が続き、何だか急に秋めいてきました。

 来たる10月27日(木)〜11月3日(木)にかけて神田古本まつりが開催されます。例年はまあこの期間も店舗のみの営業でしたが、今回回転10周年ということもあり、青空掘り出し市にも出店致します。靖国通りの何処ら辺にワゴンを出すとか、どんな商品を並べるかとかはおいおいご報告致します。雨が降ったら大赤字間違い無しの露天催事なのでどんな結果になりますことか(^^;

 さて今週の新着目録です。予告と違っ単行本までは手が回りませんでした。結局りぼんの付録漫画が38冊です。

 今回はりぼんカラーシリーズ以降のりぼんの付録です。

 まずはペンシリーズ第7回、武田京子「鐘の鳴る丘」。ペンシリーズというのは付録のシリーズではなく、本誌のほうで続いていたシリーズです。実話を元にマンガ化するという企画ものです。「鐘の鳴る丘」というと菊田一夫原作のドラマ(ラジオもしくは映画)が思い起こされますが、このコミカライズはちょっと違います。ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」に感銘を受けた品川博という人物が、ドラマと同じような施設をつくろうと思いたち、群馬県前橋市に設立した”鐘の鳴る丘少年の家”を舞台にしております。

 

 

 お次は1970年3月号〜71年7月号まで全部で15冊出た、デラックスコミックシリーズです。B5サイズで100ページ前後、1〜3作品で構成されております。途中1冊だけ160ページ程の厚さでゴールデンデラックスコミックの名称になっております。メンバー的にはりぼんkラーシリーズと比べてガラっと変わります。井出ちかえ、弓月光、山岸凉子など新人が中心の構成です。

 

 こちらは1971年8月号〜12月号まで全5回続いたシルバーシリーズ。どちらかというと企画もの的な構成です。

 

 こちらは1972年4月号〜9月号にかけて出た、一条ゆかり全集全6巻。A5サイズで各巻130ページ前後です。月刊ペースとはいえ毎月130ページを書き下ろすのは結構大変だったと思われます。それにしても一条ゆかりってこのころから人気あったんですね。

 

 こつらは1973年1月号〜6月号にかけて出た、りぼん競作まんが全集全6巻。もりたじゅん、一条ゆかり、弓月光、のがみけい、山本優子、山岸凉子各作家による98ページ書き下ろしのシリーズです。

 最後に単行本化されなかったやつをすこしだけ紹介。

 1972年2月号付録、一条ゆかり「恋人たちの時」です。原作がフランソワーズ・サガンの「優しい関係」です。この原作の権利関係が面倒なのか、未だに単行本未収録です。

 

 1973年9月号付録、「弓月光ワンマンショー」。これ掲載された「ヨットどっこい!」は単行本未収録。新婚旅行にヨットで核実験の見物に行くというむちゃくちゃな設定の漫画です。

 来週はまたちょっと付録マンガ続けます。りぼん以外のなかよしの付録もちょっと出ます。

 

 

 

9月17日(土)
天気(晴)

 

 夏の疲れが出たのかここのところ眠いというか体がダルイです。自分だけかと思っていたら、周りに聞いたら皆さんダルイというので、やっぱり季節の都合のようです(^^;。

 今週は新刊が1冊とりぼんカラーシリーズが40冊です。

 新刊の方は巴里夫復刻シリーズ第10弾で「5年ひばり組6巻」です。

 あともう少しで全8巻出揃います。次回の復刻シリーズは「5年ひばり組 7巻」の予定です。

 

 りぼんカラーシリーズの方は今回40冊。以前にも解説したことがありますが、りぼんカラーシリーズは、りぼん1963年5月号付録の竹本みつる「ふたりの花物語」から始まって、1969年9月号付録の巴里夫「おてんば選手」まで通巻77作に渡るシリーズ作品です。ただし通巻表記のない増刊としてむれあきこ「四つ葉のクローバー」があるので正確には全78作品あります。今回は思いつくままに適当にご紹介を…

 

 左は竹本みつる「クリスマスのゆびきり」です。竹本みつるは、貸本と学習まんが(企画もの)以外では単行本残さなかった作家さんです。そんなわけで一般的な知名度はかなり低いのですが、作品としては絵柄も安定していてストーリーもかなり良質です。そんなわけで竹本みつるに関しては、原作付きよりも作者オリジナルの作品が個人的には好きです。
 右は巴里夫「さよなら三角」です。これが雑誌デビュー第1作となります。これ以後りぼん誌上で「あくしゅでポン」、「5年ひばり組」と矢継ぎ早に連載が始まります。若木での書き下ろしも続いていた頃なのでかなり忙しかったんじゃないでしょうか。今度巴さんにお会いした時にでもこの当時の状況でもちょっと伺って見たいと思います。

 

 左は赤塚不二夫「九平とねえちゃん」。赤塚不二夫も初期には少女マンガを中心に仕事しておりました。この「九平とねえちゃん」は、原爆症の青年と少女の交流を描く、この時期の作者にしては珍しい完全シリアス作品です。右は赤塚不二夫、芳谷圭児、古谷三敏3人での合作「聖ハレンチ女学院」。タイトルは当時連載まもない「ハレンチ学園」からだと思われる。

 

 左は北島洋子「アンネの日記」。右は吉森みきお「ほたるの墓」(原作、野坂昭如「火垂るの墓」)。りぼんカラーシリーズにはこの手の原作付きやコミカライズなども4割程度含まれておりました。

 来週はりぼんの付録の続きと出来れば少し単行本も…。えーまた予定は未定になるかもしれませんが(^^;;

 

 

 

9月10日(土)
天気(晴)

 

 なんだかまた暑くなってきました。早く秋になりませんかねぇ。

 今週の新着目録です。りぼんの増刊系14冊です。

 まずはりぼん増刊号。

 

 1966年お正月増刊号と春休み増刊号です。それぞれ牧美也子「マキの口笛」総集編1号と3号になってます。今回残念ながら2号目(1966年2月増刊号)は無しです。どうやらそれぞれに付録でマキの口笛レコードという付録が付いていたようです。残念ながらそれらも今回は欠品ですが。それにしても「マキの口笛」の連載自体は1963年には終了しておりました。3年もたってから総集編を出すというのは、今の感覚からすればちょっと信じられません。昔はのんびりとしていたんでしょうね。

 続いて1967年の増刊号。

 

 1967年お正月増刊号と2月増刊号。わたなべまさこ「花の館」、「カメリア館」がそれぞれ前・後編と別れて掲載されてます。
 前掲の「マキの口笛」もそうですが、各巻にはシールとピンナップもしくは絵はがきが綴じ込み付録として付いてます。

 お次はりぼん大増刊。

 

 今回一番古いところは1967年4月大増刊。表紙の絵は当時流行っていた”モンキーダンス”という踊り。時代感じさせます。右は井出ちかえ「アテナの瞳」。タイミングから考えてデビュー後2作目か3作目だと思います。たぶん単行本未収録だとは思うのですが、このくらい古い作品だとなかなかデータも集まらなくて、断定がしにくいです。

 単行本未収録とはっきり分かるものはこちら。1972年4月大増刊掲載、山岸凉子「月の落葉」。

 山岸凉子の単行本未収録はこちらにも。りぼんコミック1970年7月号掲載、「ブラボー!夏休み」。

 

 

 他に単行本未収録は、りぼんコミック1970年7月号掲載、巴里夫「ストップ!涙め」と1970年11月号掲載、「ふりむかないで」。更に1969年12月号には一条ゆかり「クリスマスイブ」などがあります。

 ところで、りぼんコミック誌には、本誌のりぼん漫画スクールに相当する、”りぼんコミックスクール”というコーナーがありました。期間的にそんなに長くないのでりぼんコミックスクールでデビューした作家はそれほど多くないのですが、有名なところでささやななえがおります。

 上の画像はりぼんコミック1969年11月号のりぼんコミックスクール第5回、ささやななえ「かもめ」です。絵、ストーリー、センス、それぞれ10点満点で計30点のところで27点、かなり優秀な評価でした。

 

 左の画像はりぼんコミック1970年12月号掲載、別府ちづ子「毒酒あげます」デビュー作(第18回りぼんコミックスクール受賞作)です。このデビュー作以後りぼん系の雑誌ではちょっと発表がないようで、結局そのまま講談社系に移ったようです。右は同じ号に掲載で第17回りぼんコミックスクール受賞作、水野蔵美子(みずのくみこ)「ピーターに手を出すな!」です。受賞時は絵9点、ストーリー8点、センス9点と、先のささやななえに次ぐ高得点ですが、このデビュー作以後どうしたのかは全く不明です。この当時のとしては絵は抜群に上手い部類ですので、どこかで描いているんじゃないかと思われるのですが、今のところ全く不明です。

 りぼんコミックスクールにはこれ以外にも投稿者として汐見朝子、ふくしま美鈴、浅川まゆみ、志摩ようこ、たんのてるこ、、佐伯かよの、たむろ未知、鎌田幸美、市川みさこなどが見受けられます。

 当店の店員のIさんが、りぼん漫画スクールのデータをまとめたいと意欲を燃やしているので、こちらのりぼんコミックスクールについてもそのうちデータ化してくれると思われます。期待してます(^_^)。

 来週はりぼんの付録の予定です。巴里夫「5年ひばり組 6巻」も来週には販売可能だと思われます。

 それでは、また来週(^^)/~~~

 

 

9月3日(土)
天気(雨)

 

 

  台風12号ですが、16時現在東京の東部側ではあんまり雨風強くないです。東京付近は台風の右端をかすめるみたいですね。雨は今晩あたりが本格化でしょうか。

 今週の新着目録です。「りぼん」が18冊に、「別冊少女コミック」が2冊です。

 りぼんは1968年12月号〜1970年12月号まで。わたなべまさこ、牧美也子、北島洋子等のベテランから、一条ゆかり、もりたじゅん、弓月光等、りぼん出身の新人作家と入れ変わり始める時期です。
 そういった作家の入れ替わりを見てみると1970年の4月号から10月号にかけてちょっと面白い状況があります。

 

 

 

 上左、1970年4月号掲載、大和和紀「禁じられた館」絵物語。上右、同じ1970年4月号掲載、青池保子「おおバッハ」。下、1970年8月号掲載、細川知栄子「スペインの花嫁」絵物語。他にもちょっと画像を撮っていませんが里中満智子のイラストなども見受けられます。
 まあ青池保子に関してはもともと「りぼん」でデビューしておりますので判らなくもないのですが、本来講談社系の作家がたてつづけにこの時期の「りぼん」で執筆しているのは、なにか深いわけでもあるのでしょうか?

 

 今回の主な単行本未収録。左は1969年6月号掲載、一条ゆかり「マイ・ペンパル」読切。右は1970年4月号掲載、北島洋子「初恋物語:きまぐれキューピッド」です。「初恋物語」は連作短篇の書くわ読みきり形式で全部で5話まで続きました。

 この時代の「りぼん」のお楽しみは、りぼん漫画スクールにもあります。

 りぼん1970年2月号、りぼん漫画スクール。前原滋子「ハッピーチェス」。これ以外にも何作か投稿。前原滋子はデビュー作がはっきりしませんが、おそらく1973年付近のフレンド系雑誌。

 りぼん1970年10月号、りぼん漫画スクール。志摩ようこ「無題」。これ以外にも投稿歴あり。デビューは「なかよし」1091年2月増刊号掲載「オー!コマーシャル」。

 1970年8月号には二人目立つ人が。久木田律子「トキちゃん」と立原あゆみ「すみれ先生」。久木田律子は「りぼん」1971年8月号掲載、「愛すべきわれらがトン子さん」でデビュー。立原あゆみはこの直後の週刊マーガレット1970年50号掲載、「ダブダブ」でデビュー。

 りぼん以外は別冊少女コミックの1974年が2冊。

 

 萩尾望都「まんがABC」掲載の1974年6月号は久しぶりの入荷。

 今週はこんなところで。

 来週はりぼん増刊、りぼん大増刊、りぼんコミック辺りをアップ予定です。巴里夫「5年ひばり組 6巻」もおそらく来週には販売可能だと思います。

 

 

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮