本日もいい天気です。このぐらいの天気が古本まつりの期間中も続けばいいなと思うのですが、天気のことばかりは天に祈るしか無い状況です。今日も粛々と催事用の本のパッキングを行なっておりました。とりあえず目指せ1000冊です。
今週の新着目録です。街頭用の肉筆紙芝居が47話分です。久しぶりの紙芝居大量入荷です。
47話の内訳ですが、「快童小太郎」が3話分、「腰の曲がったお母さん」が12話分、「ヒロちゃん」23話分、「マー君」8話分、「キンちゃん」1話分です。
今回店主のお気に入りは「腰の曲がったお母さん」です。全16話の作品ですが前半の1〜4話が欠けております。どんな内容かをちょっとかいつまんでご説明いたします。
こちらが主人公のお婆ちゃん。1〜4話が欠落しているのではっきりした事情が分からないのですが、何らかの事情で住む家をなくし息子、娘に頼るため都会出てくることになりました。
まずは次男の二郎の家に行きます。息子二郎は快く迎えてくれるのですが、妻の春子は甲斐甲斐しく息子の世話をするお婆さんを快く思いません。そんなこんなで夫婦仲も悪くなりそうになり、心を痛めたお婆さんは置き手紙を残してそっと家を出てしまいました。
次に頼ったのは娘清子です。ところが娘清子の亭主徳三は酒飲みの上、定職がありません。お婆さんのお金を当てにしようとした亭主徳三と清子は大げんかをはじめます。居たたまれなくなったお婆さんはお金と夫婦仲良くするようにとまた置き手紙を残して家を出ていってしまいました。
次に頼ったのが長女光枝の家。ところが光枝は居留守を使ってお婆さんを追い返してしまいます。
最後のたよりの長男眞一郎。ところがなんという事か、訪れた丁度その時、真一郎宅が火事で被災いたします。
あまりの心労でお婆さんは雪の降る中、行き倒れてしまいます。
お婆さんの難を救ったのは、警察でした。お婆さんから事情を聞いた署長さんは、お婆さんの息子たちを警察署に呼び集めました。署長さんの説教にうなだれる息子たち。しかしみんな自分の立場を主張するばかりで誰一人お母さんを引き取ろうと言い出すものはいませんでした。
そんなやり取りに耐えられず、お婆さんはひっそりと警察を出てふたたび雪のふる道をさまようのでした。
路頭に迷ったお婆さんを救ったのは、上野の浮浪児三ちゃんです。浮浪児たちはお婆さんに僕達のお母さんがわりになってほしいと頼みます。働き者のお婆さんは喜んで、浮浪児たちの弁当を作ったりと身の回りの世話を始めました。やがて浮浪児たちとの共同生活も落ち着いた頃、シベリア抑留からお婆さんの末っ子の三郎が引き上げてくることを新聞を見て知りました。
内地に戻った三郎は兄弟たちのもとに戻り、お母さんが行方不明になった事を知り大激怒。三郎はお母さんの行方を探します。一方、三ちゃんを含めた浮浪児達も三郎を探そうと頑張ります。果たして三郎とお婆さんは出会うことができるのでしょうか。
どんな結末になるかは説明しませんが、最後はこんなシーンで終わります。
お婆さんから後光が差しております(^^)。
貸元は東京上野にあった新友会。作画は田中次郎です。検閲印の他に珍しい福岡の検閲印が紙で貼られています。福岡の検閲印を見ると昭和31年以前のもののようです。
紙芝居で田中次郎といえば、戦前の「黄金バット」の制作に携わった蟻友会の田中次郎が思い出されます。よくある名前なので、同姓同名の可能性もありますが、同一人物の可能性も一応あります。貸元の歴史的変遷がわかればもう少し断定もできると思うのですが、やはり紙芝居に関する資料は少なくて、ちゃんとした調査ができないのが残念です。
このような親孝行をベースにした人情物は、当時としてはあまりにベタな題材ですが、逆にベタ過ぎて現在では成立しにくいものとなっています。そういった観点から今現在見るとすごく新鮮な題材に思えます。
他には
江戸時代を舞台に野生児小太郎が活躍する、「快童小太郎」。
お笑い物の「ヒロちゃん」。こちらは少しクイズ付きがあります。
クイズは大体1話分に3面ありました。一面に1問から2問というのもだいたい定番です。
こちらも同じ新友会の「マー君」。これにも時折クイズ付きがみられます。
全てにクイズが付いていないところを見ると、クイズはある時期限定で流行っていたのかも知れません。ココらへんも関係者に聞いてみないとよく分からないところです。
最後は児童芸能社の「キンちゃん」です。児童芸能社は東京都台東区上野桜木町にあり、会の代表者は川崎辰雄という方だったようです。
来週は古本まつりも近いことからちょっと古めの雑誌を出したいと思います。
古本まつりのワゴンの位置なんかは来週にはお知らせできると思います。
巴里夫「5年ひばり組 7巻」も来週にはお知らせできると思います。
よろしくお願いいたします。