関東地方はあまり雪は降りませんが、寒いことは寒いですね。暖冬とゆう予報もありましたが、今後はどうなんでしょう。
今週の新着目録です。
まず1点目がジーン・エストリル「ドリーナ・バレエシリーズ」全10巻です。偕成社から児童書として1978年に刊行されたシリーズです。あまり書店では売れなかったのか初版しか見受けられません。子供の頃に読んだことがあるという方もほとんどが図書館で読んでいたようで、購入された方というのは極わずかのようです。そのため全10巻揃いは非常に貴重です。
ドリーナバレーシリーズはドリーナ(アンドリーナ・アダムズ)というバレエに憧れた少女が一流のバレリーナを目指し、悩んだり、困難にぶつかったり、恋をしたりして成長していく姿を描いたイギリスの児童向け小説です。
原作者のジーン・エストリル(Jean Estoril)はイギリスの児童文学者です。日本ではあまり知名度のない作家です。ジーン・エストリルというペンネームはバレエ物を書くとき限定のペンネームで通常はメイベル・エスター・アラン(Mabel
Esther Allan)という名義を使用していました。他にAnne PilgrimやPriscilla Hagonという名義の作品もあります。
メイベル・エスター・アラン(1915年2月11日-1998年5月14日)は、イングランドのウォラシー(Wallasey)というリバプールの対岸にある街で生まれました。8歳で小説家になることをこころざし、80歳までに170〜180冊(諸説あり)もの単行本を刊行したかなり多作の作家です。
ドリーナバレーシリーズは1957年に最初の刊行が行われ、1991年に最終巻の11巻目が刊行されました(11巻の日本語訳版は未刊行)。
日本語版は偕成社が1978年9月に刊行。当初は主人公ドリーナが14歳になる6巻までの全6巻として刊行されました。小学校中級むけとして企画されたのでドリーナが成長した7巻以降は予定しなかったようです。
訳は1〜3巻が島田三蔵、4〜6巻が谷村まちこです。表紙と挿絵は1〜6巻まで山野辺進が描いております。
それから3年経過した1981年8月から7巻以降がようやく刊行されます。対象年齢は8〜9巻が小学校上級以上から、10巻が中学生以上むけとなっております。
最終巻となる11巻は原著自体が1991年に書かれたため、偕成社のシリーズ刊行時点では存在しておりませんでした。そのため未だに日本語版は未刊行なっております。
以下は書誌データとなります。
第1巻『バレエへの夢』
訳:島田三蔵
表紙・挿絵:山野辺進
発行:1978年9月
小学校中級以上むき
原題:「Ballet for Drina」 (1957年刊)
ドリーナ10歳。イタリア人の父とイギリス人の母は幼い頃に死別しており母方の祖父母に育てられていた。5歳の頃から踊ることが好きだったが、優しい祖父母もドリーナがバレエをすることだけは何故か反対していた。そんな祖父母もようやくバレエを習うことを許してくれた。
出て来るバレエ演目:「レ・シルフィード」「ジゼル」「バラの精」「白鳥の湖」「きみょうな店」「ファサード」「ダフニスとクロエ」「レ・パティヌール」
第2巻『白鳥のように』
訳:島田三蔵
表紙・挿絵:山野辺進
発行:1978年9月
小学校中級以上むき
原題:「Drina's Dancing Year」 (1958年刊)
ドリーナ12歳。ドミニクバレエ学校へ入学。
出て来るバレエ演目(重複除く):「クルミ割り人形」「ふしぎの国のアリス」「ナポリ」
第3巻「のびゆく悩み」
訳:島田三蔵
表紙・挿絵:山野辺進
発行 1978年10月
小学校中級以上むき
原題:「Drina Dances in Exile」 (1959年刊)
ドリーナ13歳。チョークグリーンの寄宿舎へ転校。
出て来るバレエ演目(重複除く):「眠れる森の美女」「ペトルーシュカ」「コッペリア」「ラ・エスメラルダ」「ロミオとジュリエット」
第4巻『バレエひとすじに』
訳:谷村まちこ
表紙・挿絵:山野辺進
発行:1978年10月
小学校中級以上むき
原題:「Drina Dances in Italy」 (1959年刊)
ドリーナ14歳。父方の祖母に会うためイタリアに行く。
出て来るバレエ演目(重複除く):「ピーターと狼」「レ・パティヌール」
第5巻『バレリーナの道へ』
訳:谷村まちこ
表紙・挿絵:山野辺進
発行:1978年11月
小学校中級以上むき
原題「Drina Dances Again」 (1960年刊)
ドリーナ14歳。足をけがし、しばらくバレエができなくなる。
出て来るバレエ演目(重複除く):「謝肉祭」
第6巻:『はじめての愛』
訳:谷村まちこ
表紙・挿絵:山野辺進
発行:1978年11月
小学校中級以上むき
原題「Drina Dances in New York」 (1961年刊)
ドリーナ14歳。祖父母と一緒にニューヨークへ行く。そこで知り合った4歳年上のグラント・ロシターに恋をする。
第7巻『夢ははてしなく』
訳:片岡しのぶ
表紙・挿絵:可陽知子
発行 1981年8月
小学校中級以上むき
原題:「Drina Dances in Paris」 (1962年刊)
ドリーナ14歳。ニューヨークから戻ったドリーナにパリでの公園の話が持ち上がる。しかしグラントのことが忘れられず、バレエに打ち込むことが出来ない。
出て来るバレエ演目(重複除く):「シルビア」
第8巻:『南国の花園』
訳:片岡しのぶ
表紙・挿絵:可陽知子
発行 1981年11月
小学校上級以上むき
原題:「Drina Dances in Madeira」 (1963年刊)
ドリーナ15歳。静養を兼ねてマデイラ(ポルトガル領マデイラ諸島)に旅立つ。
出て来るバレエ演目(重複除く):「妖精の接吻」「パイナップル・ポール」「ダンス・コンセルタント」「ドン・キホーテ」
第9巻:『憂いの湖畔』
訳:片岡しのぶ
表紙・挿絵:可陽知子
発行 1982年2月
小学校上級以上むき
原題:「Drina Dances in Switzerland」 (1964年刊)
ドリーナ15歳。祖父の静養のため一家はスイスで冬を過ごすことになる。ドリーナもバレエ学校を離れスイスの寄宿舎に入ることに。
出て来るバレエ演目(重複除く):「卒業記念舞踏会」「シンフォニー・バリエーション」「チェック・メイト」「火の鳥」「放蕩児の遍歴」
第10巻『巡業の旅へ』
訳:片岡しのぶ
表紙・挿絵:可陽知子
発行 1982年4月
中学生以上むき
原題:「Drina Goes on Tour」 (1965年刊)
ドリーナ16歳。ドリーナの母親がかつての名バレリーナ、エリザベス・アイボリーだということが世間にしられてしまう。
出て来るバレエ演目(重複除く):「ハムレット」
第11巻 「Drina Ballerina」
日本語版未刊行
原題:「Drina Ballerina」 (1991年刊)
ドリーナ18歳。6巻で知り合ったグラントと結婚する。
以上です。ちなみに11巻目の「Drina Ballerina」 は、現在絶版のようでUSAのAmazonで$205というプレミアム値段のようです(2017年1月現在)(^^ゞ。
おまけで「ドリーナシリーズ」の原著の初版と思われる画像。
確証がちょっと取れないのだけど、多分これが初版のようです。
お次は「りぼん」です。基本売切補充ですので、今回は大増刊のところをちょっとだけ。りぼん大増刊は1978年から79年にかけて3冊です。3冊とも店主が熱愛(^^ゞしている前田由美子(大前田りん)の読切が掲載です。
りぼん1978年10月大増刊、前田由美子「グリムガーデンの約束」。ちょっとライト目のキャンパスラブストーリーという感じ。
りぼん1979年3月大増刊、前田由美子「飛ぶ日」。村のハズレに祖父と二人で暮らしている少年リオネルと街から静養にきた病弱な少女エミリア。幼い2人の悲しい恋のお話。
神学生のジョバンニは、礼拝に来た若い娼婦アデルになぜかまとわり付かれオチョクラれる。そんなアデルを最初は嫌厭していたジョバンニだが…、まだ若い二人はやがて恋に落ち…。実に前田由美子らしいラブコメディ。お薦めです。
今週はこんなところで〜。
最後はお知らせ。
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ではでは、また来週〜。