神保町裏通り日記  
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アダルト編

18歳未満は見ちゃダメよ

 というわけで今週の新着目録番外編です。

 SM界の巨匠団鬼六が私費を投じて出版した入魂の雑誌「SMキング」です。でも3年で潰れましたが(^^;

 山根麗子、久保田マリという女性編集者によるSM雑誌ということでも話題を呼びました。当初編集長は山中崇容でしたが、途中からネコの愛称で知られる山根麗子に変わりました。

 

 表紙は3号目までは辰巳四郎。4号目から秋吉巒。主要執筆者は団鬼六=花巻京太郎はじめ、千草忠夫=九十九十郎、蘭光生(式貴史)、安芸蒼太郎等のそうそうたるメンバー。

 この当時SM雑誌の創刊は大流行で、作家や挿絵家などはけっこう掛け持ちが多かったようです。千草忠夫などはこのSMキングに九十九十郎名義でも執筆している。よくもまあ教師生活を続けながらこれだけの執筆が出来る物です。頭さがる思いです。

 絵描きの方も椋陽児、前田寿安、喜多玲子、鬼頭暁、秋吉らん、小坊大師、中川あや、小妻容子等を加え、変わったところで古川益三とか石井隆などもいました。

 

 左、古川益三。右、石井隆。

 

 左は入れ墨画で有名な小妻要こと小妻容子。右はサンリオ文庫版ディックの表紙絵で有名な藤野一友こと中川あや(中川彩子)。

  

 左は、時代物の挿絵を得意とした曽我部泰。右は着物女性を描かせたら天下一品の前田寿安。

 という具合に豪華絢爛なのですが、当時のSM誌としては内容が格調高かったことが逆に裏目に出たのか短命で終わった雑誌でした。

 他に増刊号として写真集などが何冊か出ました。

 

 左は石井輝男の「徳川女刑罰史」縛りの監修をやったことでも有名な辻村隆の写真集。

 お次は、縄師としても編集者としても有名な濡木痴夢男(飯田豊一)が編集した「あぶめんと」。詳細はちょっと不明ですがこれも一年くらいしかもたなかった(^^;

 

 本当にこの手の本は雨後のタケノコのようにわんさか出たので、ここら辺になるともう何が何だか分かりません。左は三崎書房「セクシカ」。右は清風書房「ジッパー」。

 最後にちょっと写真集も

 

 左はSM写真集としては偉く上品な作りの「薔薇の鏡」。右は初期SM界の伝説の縛り師上田青柿郎編集の写真集。この当時の写真集としてはモデルなんかは最上の部類です。

 いまではSMといってもまるでファッションの一部のように扱われ、すっかり市民権を獲得しちゃっておりますが、昔は淫靡で退廃的で後ろめたさを感じさせる世界でした。70年代のSM誌はそんな時代の空気を思い出させます。

 今週はなんだか疲れました。でもまだ引っ越し作業が残っています(T_T)。がんばらなくっちゃ。

 

 

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮