毎年雨に祟られる神田古本まつりですが、今年はどうなんでしょうか。一応火曜日は晴れの予報が出てますが、台風が迷走すればそれも怪しい感じです。
今週の新着目録です。貸本は適当に9冊。雑誌小学館「ぴょんぴょん」3冊、講談社「キャロル」5冊、「りぼん」と「なかよし」ちょっとは売切補充です。
「ぴょんぴょん」も「キャロル」も語ることが尽きないような雑誌ですが、詳細に語るにはナカナカ入荷がない雑誌ですし、資料もほとんどありません。
とりあえず、まずは小学館「ぴょんぴょん」。1988年1月(雑誌表記の刊行は2月1日、ひょっとしたら実際の刊行は前年12月の末頃の可能性もあり)に創刊されました。当初は隔月だったようで、何月号という表記ではなく何号という表記がされております。基本的には男の子向けの「コロコロコミック」に対する女の子向けの位置づけであったと思われます。
執筆陣は室山まゆみ、藤原栄子、上原きみこ、奥村真理子など学年誌からの移籍が多い。420ページで漫画作品16本、値段は特別定価300円でした。月刊化の時期はちょっと不明で、1992年まで刊行されますが、休刊時の号数もちょっと不明です。「ちゃお」に吸収される形となり、これをきっかけに「ちゃお」は、「りぼん」、「なかよし」に対抗する少女向け幼年誌に変更されます。
左は創刊号掲載、室山まゆみ「どろろんぱっ!」。このとき同時に「あさりちゃん」も掲載。右は藤原栄子「フラッシュ・バニー」。
こちらも創刊号から、上原きみこ「ダンシングロード」。バレエシーンも出てきますが、基本的にはジャズダンス。わずか2回で終わってしまいました。
こちらは1990年8月号。いそほゆうすけ作画の「ドラミちゃん」。藤子版と違って、ジャイ子(ジャイアンの妹)を助けるために未来からやってきたという設定。右は、よしかわ進版の「魔法使いサリー」。
左は、1990年8月号掲載、井口ユミ「美少女仮面ポワトリン」。右は同じ井口ユミで1991年5月号掲載「不思議少女ナイルなトトメス」。「ぴょんぴょん」は、谷沢直の「魔法少女ちゅうかなぱいぱい」を含め東映不思議コメディーシリーズのコミカライズ作品は目立ちました。
お次は講談社「キャロル」です。創刊は1983年5月号。創刊は1983年4月号。創刊当初から月刊で創刊当初は隔月刊で1984年7月号まで刊行されました。わずか1年と2ヶ月の刊行というのは講談社あたりの大手としては珍しいことです。執筆陣や内容などあまり悪くないのに続かなかった原因としては、「ぴょんぴょん」にも言えるのですが、付録関係がほとんど付いていなかったからではないか(連載漫画の付録版は付属)と推測しています。やはり幼年誌(とくに少女向け)には付録は必須だったのではないでしょうか。
左は1984年3月号表紙。右は休刊号となった1984年7月号表紙。以下お薦め作品を独断と偏見でご紹介。
左は、布浦翼の読切り作品。1984年2月号掲載「ばいばい!ルル」。船乗りのおじさんから貰ったタマゴから孵った人魚をめぐるファンタジーコメディー作品。右は、1984年5月号から始まった連載作品「とんでもランチ」。とある父子のもとに宇宙人の母子が押しかけるというSFコメディー。雑誌の休刊でわずか3回で終わってしまいました。
左は、高畑梨絵「とんがり帽子のメモル」。1984年3月号から連載開始。こちらも休刊によって5回しか続かなかったため、単行本に出来るほどの話数に届きませんでした。右は、1984年4月号銀雪子「魔法の家の午後」。創刊号に掲載の「不思議なおとなりさん」から続く”ロベールとポーリーヌ”のシリーズ連作作品です。これが6話目で最終話となるのですが、こちらも単行本にするにはページ数が足らず、単行本未収録作品となりました。
左は1984年4月号新連載、瀬戸みのり「ミリちゃん旋風」。右は1984年5月号新連載、伊藤かこ「サラダ畑通信」。どちらも上記同様の理由で単行本になりませんでした。
結局、キャロルKCとして発行された単行本は、6作品9冊だけでした。
来週は、月刊セブンティーンの予定です。